この人がツ・ク・ル

プロはだし(以下P) 河上さん(正志作)、こんにちは。この度はプロはだしへのご参加ありがとうございます。
河上さんのような一流の作者にご参加いただけることはとても嬉しいことでした。正志作といえば、知る人ぞ知るヘラブナハンドメイド界のキング(笑)だった訳ですが、近年では月刊誌にコーナーを持ったり、全国の高級店に卸すなどその名を全国に轟かせ、まず手に入らないレア物ビルダーとして有名です。そんな河上さんが、なぜプロはだしへの出品をお決めになったのか、その辺りからお話しいただけますか。

正志作(以下T) いえいえ、まず最初にお断りさせていただきたいのは、私はアマチュアだということなんですわ。趣味が高じて販売はしていますが、本業は別にありますし、プロの方々とは立場が違います。
生業にされている方々は、生産数がそのまま収入に直結します。限られた時間の中で仕上げなければならないプレッシャーのある方と、生来の凝り性から手間と時間を度外視して徹底的に拘れる自分とでは、土俵が違い過ぎるんです。

たしかに有名な小売店様からもお声がけいただけ、プロの方々の作品と同じショーケースに収まっていることもありますが、たいへん光栄に感じることはあっても自分も同格だなどと思ったことはありません。ですから、いちアマチュアとしてプロはだしさんに参加することは全く不自然なことではなく、むしろ面白い試みには積極的に参加したいと感じておりました。江成さん(プロはだし店長)と知り合いじゃなかったとしても普通に応募していたと思いますよ(笑)。

P なるほど。。ありがとうございます。とはいえプロ顔負けのクオリティだからこそ、イマの河上さんの名声がある訳で、熱烈なマニアからは工房が「魔界」と呼ばれている現在、ご自身の作り出す作品に対するプライドと言いますか、自信と言いますか、そういうものをお話しいただくことは出来ませんか。謙遜はもう結構ですから。ちょっとしつこくて意地悪なお願いですけど(笑)。

T う〜ん(笑)まぁ仕上げの丁寧さとか技術的な部分というのは、さっきお話ししたように持ち時間の差もありますから、もし誰の目にも明らかに自分の作ったものより劣る作品だったとしてもですよ、プロでコレか! とは思わないようにしています。量産に重きを置くのはやむを得ずであり、時間を掛ければいくらでも綺麗に出来るよ、と思ってらっしゃるのがプロだと思いますからね。

ただ、手に取ってくださった方が、時間を掛ければ誰でも到達出来るとは思えないクオリティを目指す、というのが自分のテーマです(笑)。

P なるほど(笑)。プロの皆さんとは立場が違うと線を引いた上で、プロ・アマ混合のバトルロイヤル的には勝ちに行くぞ、と。それが最強と呼ばれるアマチュアの矜持な訳ですね。ありがとうございます。そういう本音をですね、お聞きしたかったんですよ(笑)。

T これホンマに掲載するんですか(笑)。

P ハイ、ノーカットでお送りいたします(笑)。ところで先ほどから、僕が河上さんの「作品」と呼ぶのに対し、河上さんは「作ったもの」って仰ってますよね。あえて作品と呼ばないようにしていらっしゃるのでは…と感じるのですが。

T あぁ〜、気づかれましたか。自分は「道具」作りをしてるんであって、作品を作ってるとは思ってないんですよ。謙遜という意味ではなくですね、作品と呼ぶことに抵抗があるんですわ。

P いやいや、でもアレですよね、河上さんの作品はもう、アートの域じゃないですか。とてもじゃないですけど使うのは躊躇うレベルですよ。有名なプロの落款が入ってたらこの価格じゃ買えないと思うほどの出来栄えで、でも、いわゆるアマチュア作品よりは高額です(笑)。使わずに飾っておきたいという人は沢山いらっしゃると思いますよ(笑)。

T そう仰っていただけるのは嬉しいですよ(笑)。ただし、そこはやはり道具です。使ってナンボの世界がリアル。自分のもうひとつの趣味、ラジコン飛行機も、仕上げに凝っても最後は飛ばすために作ってますからね。墜落したら終わり(笑)。勿体なくて使わないというのもユーザーの自由ですが、作者自らが作品と呼んでしまうことで使い方をユーザーに強制することに繋がる気がするんですわ。俺様の作ったものはこういうふうに使えとか、そんな使い方されたら困るわ〜とか。だけど遊び道具を作っている訳ですから。

使い方をユーザーに委ねない作者のスタンスは、いかがなものでしょうかね。自分はすごく気になるんですわ。だから、いくらでも乱暴に扱ってくれてええよって。うっわ、どんな使い方したらこないなんねん、ってところから、全くわからんくらいに直したる!って。そういう楽しみ方も自分にはあるんですわ。

P やはり変態ですね(笑)。

T だからメチャメチャ無理難題を吹っかけてくるお客さんは最高やね。燃える(笑)。自分の得意な技法とか完全スルーで設計図描いてくるお客さんもおるよ(笑)。

P それ、僕のことですよね(笑)。

【正志作(ただしさく)プロフィール】

本名:河上 正史(かわかみ ただし)

幼少の頃より手先が器用で、好きだった釣りの道具作りを始めて40年以上。やがてアマチュアと呼ぶには高度過ぎる技術力から、友人らの勧めもあって販売に踏み切った。研ぎ出しから螺鈿、鮫皮や鹿角まで、数々の技法をマスターして現在に至る。無理難題なオーダーに萌える、根っからのドM、もとい研究者気質であり、要望には提案の倍返し。知る人ぞ知る巨匠の工房が、魔界と呼ばれる所以である。

本業はドラム講師。プロバンドのミュージシャンとしても活躍。「よ~いドン!(関西テレビ放送/カンテレ)」人気コーナー「となりの人間国宝さん」では、ラジコンで出演。選ばれし者には、天は二物も三物も与えるのが常。世の中はつくづく不公平に出来ている。

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©2019 プロはだし 株式会社つぐに

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